豊橋医療センターでは、看護の質の向上および地域に根差した看護を提供することを目的とし、
チーム医療の一員として認定看護師やその他の分野で資格を取得した看護師が院内外において組織横断的に活躍しています。
【がん看護専門看護師】
がん看護の専門性と専門看護師が担う6つの役割機能(実践・相談・調整・倫理調整・教育・研究)を発揮しながら、“がん看護分野におけるケアの質向上”と“質の高いがんチーム医療の実践”の推進力となることを目的に、がん専門副看護師長として組織横断的に活動しています。
≪院内における主な具体的活動≫
- がん看護相談外来における相談支援活動
がん看護相談外来のページはこちら
- がんの診断・治療場面における医療者からの依頼対応
病状と治療方針に関する説明場面への同席や、患者さんやご家族のケアに関する相談に対応しています。ベッドサイドケアに同行したり、チームカンファレンスに参加したりして看護師や医療スタッフに対する教育・支援も行っています。
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がん看護に関連した学習会や倫理教育研修の企画開催
看護部教育委員会主催の静脈注射認定研修(がん薬物療法看護/CVポートに関する講義・演習、アドバンス・ケア・プランニングに関する研修)を担当しています。また看護部の年間目標に沿ったミニレクチャー、各部署のニーズに応じた勉強会や化学療法運営委員会主催の研修も随時開いています。
- がん看護関連のケアシステムの整備
現場のスタッフが効率的で標準的なケアを実践するための仕組みづくりに関与しています。
- 研究活動
日常の看護実践の場における疑問や課題をもとに研究を実施しています。また看護研究委員会としてスタッフの研究を支援しています。
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【脳卒中リハビリテーション看護認定看護師】
脳卒中は、麻痺や意識障害などの後遺症を残したり、生命が危機的な状況になることがある病気です。発症直後の急性期は、重篤化回避を行いながら、機能回復のため早期からリハビリテーションが行えるように看護を行っています。その後も患者さんの画像や検査結果から合併症を予防し、現在生じている症状だけではなく今後考えられる症状を予測して安全にリハビリテーションが行えるよう、ケアの提供と看護師への指導を行っています。後遺症により、生活に影響を及ぼしたり社会復帰が困難になる場合もあるため、患者さん・ご家族の思いを聴き、食べる、トイレで排泄する、仕事に復帰するなど、その人らしく生活できることを大切にし、可能な限りの自立とQOL(生活の質)を高めることができるよう支援しています。
また、尿道カテーテルを抜いた後の患者さんに対して排尿が自立しQOLが向上することを目指し、排尿ケアチームの一員として医師やリハビリ職種、薬剤師など多職種と共に必要な指導、訓練、治療などを検討しケアを提供しています。多職種と看護師の連携を図りそれぞれの職種が専門性を発揮し、より充実したケアが提供できるよう関わっています。
脳卒中を発症しない、発症した場合でも後遺症を少なくするための啓もう活動として、市民講座などで脳卒中の発症予防・再発予防のための生活支援や発症した場合の早期発見・早期受診について講演を行っています。
【皮膚・排泄ケア認定看護師】
創傷(傷)、ストーマ(人工肛門・人工膀胱)、排泄に関するケアを専門に、入院から外来、在宅へ継続的な看護ができるよう実践・アドバイスを行っております。また、在宅療養される患者さんが、安心して過ごせるようソーシャルワーカーや訪問看護師、施設看護師との連携も多く行っております。
創傷に関しては、主に褥瘡(床づれ)やがんに伴う傷、瘻孔(気管切開や胃瘻など)、フットケア(足病変)などのスキンケアを行います。褥瘡(床ずれ)は、褥瘡対策チームによる褥瘡回診を行い、体位変換の方法やマットレスの選定・栄養・リハビリ・薬剤の選択など多角的にアプローチし、早期治癒・再発予防に取り組んでおります。
ストーマ(人工肛門・人工膀胱)に関しては、主にストーマ外来を担当し、「ストーマ中心の生活」ではなく「生活の一部にストーマがある」ことができるよう、その方のライフスタイルを特に大切にしています。
排泄に関しては、失禁やおむつかぶれ等、悩んでいても相談しにくい分野ですので、人としての尊厳を保持し、少しでも排泄を気にせずに過ごせるよう看護の視点で関わっています。
≪ストーマ・スキンケア外来≫(毎週月・水・木曜日 完全予約制)
- ストーマ(人工肛門・人工膀胱)や胃瘻・気管孔などの瘻孔ケア
- 褥瘡(床づれ)予防対策~体圧分散マットレスの選定や体位変換の方法
- がんによる創傷ケア
- 失禁ケア、在宅自己導尿の生活指導やおむつの選択・使い方など
症状に応じて、他職種と連携し、在宅でも安心して生活できるよう支援しています。 |
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【感染管理認定看護師】
外来受診や入院される方は、様々な病気に罹患され来院されます。そして、その病気の中には他者に移る感染症もあり、新型コロナウイルス感染症のように時として地域住民の皆様の生命を脅かす場合もあります。
感染管理認定看護師は、この地域や病院でどのような感染症が増えているのか動向と調査し、病院を利用される方が病院内で本来の病気とは別の他の感染症に罹ることがないようにしなければなりません。そのため、職員に対し感染対策の教育・指導を行い、適切に対策が実行されているか院内巡視を行い確認しています。また、入院患者さんは様々な医療行為を受けますが、適切な手術前後の管理やカテーテル管理などが行えているか確認し、医療行為に伴う感染が起きないよう指導しています。一方、全ての病院職員に対し、職員自身が感染源となり院内に広げることがないよう、体調管理の徹底を図っています。
その他、地域住民の方の要望に合わせインフルエンザの予防や正しい手洗いの方法等について講演を行い、地域における感染対策の普及にも努めています。
【治験コーディネーター】
治験とは、健康な人や患者さんに「くすりの候補」を実際に使っていただいて、人での効果(有効性)や副作用(安全性)について調べ、国(厚生労働省)から「くすり」として承認を受けるために行う臨床試験のことであり、治験で使われる「くすりの候補」を「治験薬」といいます。新しい「くすり」が誕生するまでには10年以上の長い歳月がかかり、多くの人、特に患者さんのご協力が欠かせません。
私たち治験コーディネーターは、治験を行う際に医療機関や製薬会社、患者さんの間に立ち、治験がスムーズに進行するようサポートしています。患者さんから正しい情報を集め、正しく報告することが私たちの一番の役割です。そのために院内で組織横断的に活動し、担当医師を始め他部門と協力し合い、安全に治験が実施できるよう日々取り組んでいます。治験に参加することはメリットだけではなく、デメリットもありますので、私たちが治験について詳しく説明します。必要な検査や診察のために来院された際は、患者さんに付き添いサポートします。心配なことや不安なことは、何でもご相談ください。
治験は、新しい薬を世に送り出すために必要です。次世代に新薬を残すという形で社会貢献ができることは、治験参加の一つのメリットでもあります。「治験は未来への贈り物」。ご理解ご協力いただく患者さん一人ひとりの思いが新しいくすりの誕生へつながっています。