関節リウマチは、自己免疫疾患の1つで、全身の様々な関節に炎症がおき、痛みや腫れを引き起こす病気です。
日本国内の患者数は約70万人といわれ、その8割は女性です。30~50歳代に発症する方が多いですが、最近は60歳以上で発症される方も増えています。
関節破壊は発症早期から始まり、継続的に進行していきます。特に発症初期の2年間が症状の進行を抑えられるかどうかのカギとなる重要な期間(Window of opportunity:治療機会の窓)であると言われており、以前にもまして早期診断・早期治療が非常に重要であると考えられています。
現在の関節リウマチの治療の基本的な考え方は以前のケア(短期的なQOL改善)からキュア(治癒)(長期的なQOLの改善)へと変わりつつあります。当科では関節リウマチ治療戦略として提唱されているTreat to Target(T2T)という目標達成に向けた治療を心がけて診療を行っております。
定期的な診察における患者様の症状と採血データ、X線写真による関節の評価をもとに治療の選択を行っております。
当科では最新の薬物治療を取り入れ関節の変形・破壊を進ませない治療を心がけていますが、関節リウマチの治療期間が長く手足の関節変形による疼痛がみられる方には、疼痛、変形に対する手術療法を行っています。手術療法に関しては主に滑膜切除術、関節固定術、人工関節置換術を行っています。適切な薬物療法が中心ですが、タイミングを逃さない手術療法を心掛けています。
手術以外にも、関節の変形を防ぐ方法として装具療法があります。装具を使用して生活することもQOL(Quality Of Life:生活の質)の向上に有効な手段であるため、装具を作成してQOLの改善、疼痛緩和に努める場合もあります。