診療放射線科では様々な画像検査と放射線を使った治療を行うことで、病院全体の診療業務に広く関わり、患者様や医療者を支えていく役割を担っています。各診療科がより質の高い診断、治療を行えるように最新の検査技術を学び、患者様にとって安心・安全で有益な情報が得られる画像を医師に提供できるように日々精進しています。当院の放射線科では、X線撮影、X線TV、骨密度検査、乳腺撮影、CT、MRI、アイソトープ検査、血管造影など画像による診断、放射線治療による病気の治療を行っています。
また医療技術の進歩に伴い医療被ばくも問題になっておりますので、被ばく低減を目指し、少ない放射線量で有益な検査が施行できるような知識の習得や技術の向上にも努めています。検査の際に不安や疑問のある患者様はお気軽に放射線科スタッフまでご質問ください。安心して検査がお受けいただけるよう丁寧にお答えいたします。
大型医療機器の共同利用について
当院は地域支援病院として、保有しているCT、MRI、骨密度測定装置を地域の医療機関の先生方にもご利用いただける大型医療機器の共同利用を行っております。地域に愛され、地域に根差した放射線科を目指していますので、近隣地域の先生方からのご依頼をお待ちしております。
ご利用に関しての問い合わせは 地域医療連携室または診療放射線科までお願いいたします。
検査 |
撮影部位 |
予約時間 |
その他 |
CT |
頭部・胸部等の全身 |
13:00~18:30 |
単純検査のみ、読影可能 |
MRI |
頭部・椎体等の全身 |
13:00~18:30 |
単純検査のみ、読影可能 |
骨密度 |
腰椎、腰椎+大腿骨 |
13:00~16:00 |
簡易レポートあり |
※予約状況によっては、当日の検査も可能です。
単純X線撮影検査
単純X線撮影とは胸部や腹部、四肢骨に対してX線を利用し画像を得る検査で、放射線検査の中でもっとも基本的な検査です。当院の一般撮影室では最新システムであるFPD(フラットパネルディテクタ)を導入し撮影を行っています。
このシステムは少ない線量でも従来と同等の画質を得られ、被ばくの低減にもつながっています。また画像を瞬時に確認することができるため撮影時間や待ち時間の短縮を実現することができます。患者様の体調や痛み等に配慮しつつ安全な検査を行うように努めています。 |
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島津製作所社製 RAD Speed PRO
FUJIFILM社製 CALNEO、CALNEO SMART |
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乳腺撮影検査
乳房撮影は、一般にマンモグラフィmammographyとも呼ばれ、専用装置を用いて撮影を行います。がん早期発見のためには乳腺組織内のごく小さな病変を検出する必要があり、検診などでは、40歳以上の女性に対し2年に1回の乳房撮影が推奨されています。
乳房内の乳腺組織が占める割合は個人差が大きく、また乳がんは軟部組織である乳腺組織とその周辺組織に対しX線の吸収差は小さくなります。よってターゲット、付加フィルタを対象に合わせて切り替え、通常のX線撮影と比較してきわめて低い管電圧で撮影を行っています。
検査時間は10~15分程度で専用の圧迫板にて乳房を薄く広げ、しっかりと固定してから撮影を行います。薄く広げて圧迫することで、乳腺の重なりが少なくなり病変が見つけやすくなり、またX線の量も少なくすることが出来ます。 |
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FUJIFILM社 AMULET Innovality |
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X線透視検査(X線TV)
X線透視検査とはX線を使って体内の透視や撮影を行う検査です。バリウム・X線造影剤を使用することで、臓器の動きや流れ具合等をリアルタイムで確認しながら撮影することも可能です。人間ドックでは、バリウムを使用した上部消化管造影検査を行っております。
またX線透視検査は様々な種類があり、体内を透視することで骨折部位の整復や腹部等に管を入れるような治療も行っています。当院のX線透視撮影装置は単純X線撮影装置と同様にFPD(フラットパネルディテクタ)を導入しており、従来の撮影装置と比較して少ないX線量で高画質な画像の撮影が可能です。
検査を受ける場合には撮影部位付近に金属やプラスチック等がありますと検査に影響が出ますので、可能な限り取り外しをお願いしております。また検査によっては前日・当日の飲食やお薬の制限をする場合がございます。ご不明点がありましたらご相談ください。 |
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胃バリウム検査 |
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島津製作所社製 SONIALVISION G4 |
島津製作所社製 FLEXAVISION FD |
骨密度検査
『骨密度』は骨の強さを判定するための代表的な指標で、骨を作るカルシウムやミネラルなどがどの程度詰まっているかを測定します。
当院の装置は、2種類の異なるエネルギーのX線を照射するDEXA法という方法を用いて測定を行っています。
[装置の特徴]
- 骨密度の測定精度が高い
- 極めて少ないX線量で検査できる
- 検査結果がすぐに分かる
- 過去の結果と比較することができる
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Horizon X線骨密度測定装置 (Hologic社) |
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検査について |
仰向けにベッドに寝ていただいた状態で腰椎と大腿骨の2か所の測定を10分程行います。
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測定結果は自分の骨密度が
- 同年代の方と比べてどのくらいか
- 骨密度が一番高い年代(若い年代)の方と比べてどのくらいか
で表します
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[お願い]
- プラスチック、金属類は測定に影響を及ぼしますので検査前に外してください。
- 腰椎や股関節の手術をして金属が入っている方や、最近バリウム検査を受けた方は検査を受けられないことがあります。
事前に担当技師にお知らせください。
- その他ご不明な点はお気軽にご相談ください。
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CT検査
CTとは、Computed Tomography(コンピューター断層撮影装置)の略です。人体を透過したX線を検出し、コンピューター処理することによって体の輪切り画像を得る検査です。撮影した画像から様々な断面(2D)や、血管や骨、臓器などを立体(3D)で表示することも可能です。
当センターでは80列マルチスライスCTが2台稼働しており、広い範囲を薄いスライスで短時間に撮影することができます。検査は全身を対象としており、頭部・頸部・四肢・体幹部の血管撮影(CTA)、心臓冠動脈CTなども行っています。
CT検査を受けられる方へ |
- 検査は撮影部位により異なりますが5~30分程度かかります。
- 検査中は検査担当者とマイクを通していつでも会話できますのでご安心ください。
- 金属は検査の妨げになる場合がありますので、外していただくことがあります。
- 造影剤を使う場合や腹部の検査では、検査直前の食事制限を行う場合があります。
- 検査前に水やお茶などの水分はお飲みいただいて大丈夫です。
- 検査中に気分が悪くなったり、異常を感じたりした場合は、すぐにお知らせください
- CT検査は緊急検査の有無、検査状況により予約時間通りにできない場合がありますのであらかじめご了承ください。
[造影CT検査を受けられる方で下記に該当する場合はスタッフにお知らせください]
- 以前に造影剤を使って具合が悪くなったことがある方
- ヨードアレルギーのある方、喘息、腎機能の悪い方
- 糖尿病内服薬等を処方されている方(お薬手帳をお持ちください)
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MRI検査
MRI検査は、強力な磁石と電波を使って検査を行います。磁場が発生しているトンネル状の装置の中で、ラジオなどで用いられている周波数の電波をあて、体の内部の断面をあらゆる方向から画像にします。検査は、撮影する部位にコイルと呼ばれる専用の用具を体に装着し、ベッドに寝た姿勢でトンネル状の装置の中に入ります。磁場を発生させるときに、装置から工事現場のような大きな音がするため、検査中はヘッドホンや耳栓を装着して検査を行います。
検査時間は20~40分とCT検査に比べて長くかかりますが、体を動かすと画質が落ちてしまうので、できる限り同じ姿勢を保つことが必要です。またMRI検査では、撮影目的によって造影剤を飲んだり、静脈から注射したりすることがあります。検査を受けるにあたっては、強力な磁石や電波を使うため、事故ややけどに十分注意が必要です。ペースメーカーや人工内耳などの金属類が体内に入っている人、磁石を使用したインプラントを埋め込まれている人は、検査が受けられない場合があります。入れ墨やアートメーク、マスカラはやけどの原因になることもあります。また、装置の中の空間は狭いため、閉所恐怖症の人は検査が難しいこともあります。(検査中は呼び出し用のブザーをお渡ししています)
その他ご不明な点はお気軽にご相談ください。
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Philips社製 Ingenia 1.5T HP |
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検査を受けるにあたっての注意事項 |
[持ち込めないもの]
カラーコンタクトレンズ、アイシャドー、つけまつげ、マスカラ、めがね、かつら、ウイッグ、ヘアピン、バレッタ、アクセサリー、指輪、ピアス、ネイルアート、ホック・ファスナー等金属の付いた衣類や下着、下着(保温用下着、矯正下着等)、エレキバン、カイロ、各種貼付剤、ニトロダーム、松葉杖、筋力トレーニング等のウェイト、携帯電話、スマートフォン、マスク(金属の入っているもの)、磁気カード、時計、ライター、財布、安全ピン、ペン、鉛筆、かぎ 等
安全に検査を行うため、次のような医療機器が体内にある場合、検査ができない場合があります。
事前に主治医、検査担当者にお申し出ください。
脳動脈瘤クリップ、シャントシステム、脳深部刺激システム(DBS)、頭蓋内電極、人工内耳、体内植込み型ポート、持続血糖値測定器(リブレ)、心臓ペースメーカー、植込み型除細動器(ICD)、迷走神経刺激システム(VNC)、植込み型心電図レコーダー、ステントグラフトシステム、静脈フィルター、カプセル内視鏡、内視鏡用クリップ 等
[検査前の食事、水分摂取について]
造影検査、腹部検査の場合は、食事の制限があります。検査が午前の場合は朝食を、午後の場合は昼食を摂らないようにお願いします。
水、お茶は摂取して頂いて大丈夫です。
[排尿の制限]
膀胱、婦人科疾患、前立腺の検査の場合、尿を膀胱に貯めた状態で検査を行います。
よって検査終了時まで排尿しないようできるだけご協力ください。 |
血管撮影検査
血管造影検査は、カテーテルという細い管を動脈や静脈に挿入し、血管内圧力の測定や、造影剤を注入して血管を撮影することにより病気を診断します。検査部位や目的によって撮影方法や検査時間が異なります。また治療を行う場合には長い時間がかかります。当センターはバイプレーン装置という同時に二方向から撮影できる装置を導入しており、病変部位の観察や被ばく低減が可能になりますので、より安全な診断や治療に貢献しております。
検査の流れ |
血管造影検査に必要な検査(採血、レントゲン、心電図など)を行います。
基本的に入院した後、病棟から検査室に移動します。
検査中は消毒やモニター装着など処置を施した後、体に清潔な布(滅菌ドレープ)で覆いますので、手を出すなど体を動かさないようにしてください。
会話は可能なので注射の痛みや造影剤による熱感など何かありましたらスタッフに声をかけてください。
方法や内容で異なりますが検査時間は30-60分、治療時間は2-4時間です。
[心臓血管検査]
左室造影(LVG)や選択的冠動脈造影(CAG)が主に行われます。
カテーテルから造影剤を注入し、心臓の中の圧力や血液量の測定、心臓血管の動脈硬化や狭窄などの異常を診断する検査です。
[脳血管検査]
カテーテルを足の付け根または手や肘の動脈から挿入し、先端を脳の近くへ選択的に進めてから造影剤を注入することで血管を描写します。
主にくも膜下出血の原因となる動脈瘤や脳梗塞、先天的な脳動静脈奇形の診断や治療を目的とする検査です。
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アイソトープ検査
この検査では、ごく微量の放射線を放出し、特定の臓器(骨や腫瘍など)に集まりやすい性質を持った放射性医薬品を用います。その放射性医薬品を体内に投与し、そこから放出される放射線(ガンマ線)を体外からガンマカメラと呼ばれる専用のカメラによって映像化することで、各臓器の血流状態や代謝機能などを検査できます。
検査項目は脳血流、肺血流、唾液腺、甲状腺、心筋、腫瘍、骨、消化管系など多岐にわたります。検査目的や部位によって使用する薬剤が異なるため、検査開始時間や撮影時間が異なります。
下記の図は、当センターで行っている主な検査となります。
脳血流シンチグラフィ |
認知症診断や脳梗塞・脳出血などの脳血管障害の範囲を調べる
※撮影時間は検査内容によって異なることがあります。 |
ダットスキャン |
パーキンソン病やレビー小体型認知症を調べる
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心筋血流シンチグラフィ |
心臓の血流状態を調べる
※撮影時間は検査内容によって異なることがあります。 |
放射線治療
放射線治療は手術、化学療法と並びがん3大治療の一つを担っています。とりわけ、体への負担が少なく、形態や機能の温存が最大の特徴です。放射線は照射されても痛みを感じませんが、毎日行うことで最大の治療効果を発揮します。様々ながんが放射線治療の対象となりますが、当院では乳がん患者の治療割合が最多となっています。1回の放射線治療に要する時間は15分程度で、5~6週間毎日行います。(土、日、祝祭日を除く)ご予定に合わせて外来通院治療にも広く対応していますので、ご相談ください。
放射線治療は位置照合がとても重要です。患者様には治療中動かないことや、体に位置マーキングをさせていただくなどのご協力をお願いしています。治療はもちろん、機器や精度の管理は、放射線治療関連資格を有したスタッフが担当し、安全・安心・高品質な放射線治療を提供できるよう日々努めています。疑問や不安がありましたら、お気軽に担当スタッフまでお声掛けください。放射線科の受診をご希望の方は、当院の該当する疾患の診療科を通しておこなっていただくようお願い申し上げます。
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SIEMENS社製 ARTISTE |
SIEMENS社製 SOMATOM Definition AS64 |
放射線検査による被ばくについて
Q1. 被ばくするとどんな影響があるの?
放射線による人体への影響は、組織反応(確定的影響)と確率的影響と呼ばれるものがあります。
- 組織反応(確定的影響)
「一定量の放射線を受けると、影響が現れる」現象をいいます。また、放射線の量が多くなるほど、その影響度(障害)も大きくなります。
組織反応は、数多くの細胞が放射線によって傷ついたときに生じ、毛が抜けたり、白内障になったりという障害が発生します。
- 確率的影響
ある一定量の放射線を受けたとしても必ずしも影響が現れるわけではなく、被ばく線量の増加とともに発生確率(障害)も増加します。
がんや白血病が確率的影響となります。
ただ、通常の検査で使用する放射線の量は、身体に影響が出る量よりもはるかに少ない線量で行っています。
したがって放射線による影響をご心配されることはなく、必要な時に必要な検査を受けることが大切です。
Q2. 昨日も検査を受けていますが、大丈夫ですか?
被ばくすることで遺伝子に傷がつくと考えられ、その後細胞の修復機構により修復されます。
短期間に複数回検査を受けることで影響がでると不安を持つかもしれませんが、通常の検査での被ばく程度では修復に時間を要することはないので、必要な時に検査を受けることが重要です。
Q3. 1年間でどのくらい被ばくしてもよいの?
医療被ばくに限度は設けられてなく、受けるメリットが被ばくをするデメリットを大きく上回ったとき検査を行っています。
また放射線量は厳しく管理しており、最小限の線量で検査を行うようにしていますので、健康を守るための必要な検査は心配しないで受けてください。
被ばく線量低減についての取り組み |
当院では放射線検査による被ばく線量が適切であるかどうか定期的に測定し、関連学会のガイドラインを参考(DRLs2020など)に線量の最適化に取り組んでいます。検査時に診療放射線技師が患者様の体格や状態によって、適正線量を照射することで被ばく低減に努めています。 |